こんにちは。
気候が不安定な今日この頃です。このまま梅雨入りしてしまうのでしょうか。
今日の一枚は奥多摩周遊道路の月夜見駐車場から見下ろした奥多摩湖の風景です。天候がよければこの時期はとても気持ちいいです。
さて、今日は前回の続きです。
前回、Hospital at Home として在宅で行われる急性期医療と、在宅医療の範囲内で行う急性期医療は別物であると書きました。今日はその違いについて考えてみます。
説明の都合上、Hospital at Home として在宅で行われる急性期医療を『急性期在宅医療』、在宅医療の範囲内で行う急性期医療を『在宅急性期医療』と表現してみます。一般的にそのような使い分けはされていないので、ご注意ください。
在宅療養中の患者さんに何らかの急な変化が発生し、急性期医療を行うかどうかを考えるようなシチュエーションは毎日のように発生します。そこでまず重要なのは、それがどのような状態なのかを的確に判断し、方針を決定することです。急性期医療対応が必要な状態なのか、必要なら病院受診にするのか在宅で診るのか、在宅で診るなら急性期在宅医療対応なのか在宅急性期医療対応なのか、を速やかに決定するのです。
ここで必要なのは、その患者さんの病態を知っていること、ふだんからACPを行い本人・家族の意向を知っていること、本人の意思決定能力について理解していること、本人と家族の関係性を理解していること、この状態において本人あるいは家族と十分コミュニケートできること、そして本人・家族と信頼関係を築いていること、です。それができるのは主治医あるいはそれに相当するチーム(他職種含む)でしかありえません。往診代行業者ではスムーズに事が運ぶわけがないのです。
そのうえで、「急性期在宅医療を行う」という方針に決めたのであれば、それを実行するのは必ずしも主治医である必要はありません。在宅医よりもむしろふだんから急性期医療に専従している医師の方が適切な診療が行える可能性が高いのです。だからこそここで急性期病院からHospital at Home チームに出動していただいて診療を行ってもらうのが効果的であるということになるわけです。それが先進的な欧米のやり方です。日本でも、往診代行業者の本来の出番はここにあると思っています。
急性期医療の経験の浅い、十分なトレーニングを受けていない在宅医には難しいことです。
一方で、在宅療養継続を優先して在宅急性期医療対応とするなら、その急性期医療は在宅医の仕事です。在宅急性期医療の最大の特徴は、本人の意思・価値観・生き方を最大限尊重する(時には生命の維持よりも)というところにあります。そして、病院ではできるが在宅ではできないこと(24時間医療スタッフが常駐していないこと、十分な診断・治療・モニタリングのための医療機器がないこと、迅速性に限界があることなど)に関して本人・家族・関わるスタッフが共通認識を持つことも必要です。
そのような状況下でも住み慣れた家で急性期を乗り切り、状態が回復し、元気を取り戻せたら最高ですね。
在宅療養中だからといって、緩和ケア対応だからといって、回復可能ないのちを簡単にあきらめるべきではありません。本人の意思尊重という大義名分のもとに、テキトーな急性期医療をやっていいわけではありません。その状況における理想的な急性期医療とは何かを考えずに急性期医療を提供している気になってもいけません。結果的にに穏やかな看取りとなったとしても安易に納得してはいけません。
在宅における急性期医療は、常に葛藤しながら進めるものなのです。
(説教がましい話ですみませんでした。)
