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日常と非日常

こんにちは。

東京都多摩地区でもソメイヨシノが咲き始めたようです。春ですね。まだダウンジャケットはしまえませんが。

 

今日は前回の続きです。というか言い足りなかったことの補足です。

前回「がん患者さんの苦痛を軽減しQOLを上げるためには新たにつながりを作ることが効果的である。つながりを作るための場を提供するには場の設定が重要である」という話をしました。しかしながら、『設定』って何だ? というところには触れませんでした。そこで今日はこの『設定』について考えてみます。

 

『場の設定』を考える前にまず必要なのは、『前提』です。もう少し正確に言うと『前提条件の共有』です。これがないとそもそも『場』は作れません。今回は『がん患者さん(がん経験者さん)』ということを前提としていますので、そこは必ず共有しておく必要があります。

さらにひとつ前置きをしておきますが、僕は現時点でがん患者さんのつながりを作るための『場』の提供は行えておりません。ですからこれから書くことはすべて僕の頭の中の話です。現在『場』の提供をされている皆様を批判する意図は全くないことをご承知おきください。

 

『場の設定』を考えるときのキーワードは『日常と非日常』だと思っています。『場』に日常を求めるのか、非日常を求めるのかで全く違った方向性になると思います。

例を挙げてみます。『アピアランスケア』というテーマを前提にした場について考えてみます。がん疾患(およびその治療)に関連してアピアランスに問題が発生することがしばしばあります。そのことが日常生活において苦痛を生んだりQOLを下げたりしてしまいます。そこで、このアピアランスの問題について打ち明けたり、話を聞いたり、共有したり、対処法を考えたりする『場』が有用なわけです。これは「日常的に感じている問題・苦痛について語り合う場」なので、提供するのは『日常』です。

一方で、アピアランス問題を抱えているという『前提』を持ちつつアピアランスを一切気にしない『場』というのも有用だと思うのです。暑苦しいウイッグなんか取っ払ってはしゃいだり人目を気にせず温泉に入ったりする、というようなことであり、提供するのは『非日常』です。

『日常』を提供する場で非日常的にふるまったり、『非日常』を提供する場で日常的な苦痛について語ったりするのはご法度だと思うのです。(簡単な話ではないかもしれませんが。)

 

がん患者さんにとってがんと共に過ごす生活は『日常』です。だからこそ『日常』の悩みごと・困りごとについて考えることで苦痛を減らしQOLを上げることを目指すのか、逆にその『日常』から一時的にしろ離れて『非日常』的な時間を過ごすことで苦痛を減らしQOLを上げることを目指すのか、どちらもありだと思います。しかしながら、それぞれ別々の『場』を提供されるべきでしょう。

一般的に女性は『日常』を求め、男性は『非日常』を求める傾向があると言われているようです(根拠は知りません)。もちろんひとりの人間が『日常』を求めるときと『非日常』を求めるときがあっていいわけです。

 

そしてもうひとつ、180度反対の考え方もあると思っています。それはがんと共に過ごす生活を『非日常』と捉えるということです。これには『諸刃の刃』的な面があるかもしれませんが、がん治療中の方などには有用だと思います。がん治療を受けている時間・がんのことを考えている時間は『非日常』であり、がんから離れた時間こそが『日常』であると捉えるわけです。よって、がんのことは考えずに日常を過ごすための『場』というものもあってよいと思うのです。がん経験者という『前提』は共有しつつ、がんのことは考えずに世間話をしたり、お茶を飲んだり、ごく普通の日常的な時間を過ごすわけです。一言もしゃべらずにただ珈琲を飲むなんてのもいいのではないでしょうか。

 

『場』に参加するのは苦痛を軽減しQOLを上げることを目指すからであり、結果が伴わなければ意味がなくなってしまいます。有害にもなり得ます。したがって、『場』を提供する側は厳然とした『設定(ルール)』を設けるべきであり、参加する側はその『設定(ルール)』を守る必要があるわけです。

『設定』をあいまいにして話し方のルールを厳格化する、というやり方もあるでしょうが、むしろ『設定』を厳格化して話し方のルールは緩やかにする、という方がよい気がします。(そう簡単ではないでしょうが。)

 

「空気を読む」という言い方があります。緊張感を感じてしまう言葉です。『場』を提供する側が『空気』をも提供してしまえば、参加者が空気を読む必要はなくなります。それだけで緊張がほぐれたりします。そして、事前に『場の空気』を知ることができたら、自分に合わないと感じた人は参加しなければよいわけです。自分に合う『場』を探して参加すればよいのです。

そのためには世の中にたくさんの『場』が必要ですね。早く自分も『場の提供者』になりたいと思っています。努力します。

 (今回のブログも前回同様に西東京市市民協働推進センターゆめこらぼ さん主催のイベントまちづくり円卓会議「男性がんサバイバーの地域でのつながり方」からインスパイアされたものです。)