こんにちは。
今日はイベントの報告です。
先日、西東京市市民協働推進センター『ゆめこらぼ』さん主催の【まちづくり円卓会議「男性がんサバイバーの地域でのつながり方」】というイベントに参加してきました。
いやぁ、実に内容の濃い有意義なイベントでした。
イベントの様子はいずれゆめこらぼさんのホームページで報告されると思いますので、期待してお待ちください。
ここでは僕の個人的な感想をお話ししようと思います。
まず最初に『サバイバー』という呼称ですが、僕はどうもなじめません。『サバイバー』の定義を厳格化すると『サバイバーじゃない人』が発生するわけで、その『サバイバーじゃない人』はどう呼称すればいいのかわからないし、シンプルに『がん経験者』でいいんじゃないかと思っています。
そんなわけで『がん経験者』という意味で話していくわけですが、自分は医療者なので仕事目線でとらえて『がん患者さん』と呼称させていただきます。ご了解ください。
キーワードは『つながり』です。
がんという病気を経験すると、いろんな意味での『つながり』が量的にも質的にも減ってしまいます。元々あった『つながり』が病気がないことを前提としたものであるのなら致し方ないところです。そして、『つながり』が減ることががん患者さんの苦痛(社会的苦痛と呼んでいます)を増強させることになります。
われわれ緩和ケア提供者の役割はがん患者さんの苦痛を軽減することですから、『つながり』が減ることで苦痛が増強しているのなら、『つながり』を増やす(新たな『つながり』を作る、提供する)ことで苦痛軽減を目指すのは論理的です。
では、どうすればよいでしょうか?
『つながり』を増やす方法は二つです。ひとつはわれわれ自身ががん患者さん・家族さんとつながることであり、もうひとつはがん患者さん・家族さんがほかの人たちとつながれる『場』を提供することです。
緩和ケア提供者ががん患者さん・家族さんとつながるというのは、われわれにとって最初の一歩です。それがなければそもそも緩和ケアは始まりません。ですから、「緩和ケアとははがん患者さん・家族さんとの間に新たにつながりを作ることである」ともいえるわけです。
「苦痛を軽減する」というのは逆から見れば「QOLを上げる」ということになります。『質』ですね。したがって、がん患者さん・家族さんとの間に質の高いつながり(関係性)を築くことが緩和ケア提供者には求められるのです。そして、つながり(関係性)というのは双方向性であるべきです。一方的なつながりより双方向性のつながりの方が質が高いのは当然です。双方向性であるということは、つながることによって苦痛を軽減する効果・QOLを上げる効果も双方に認められるはずです。
よって、自分が提供している緩和ケアの質が高いかどうかを自分で評価するには、がん患者さん・家族さんとつながることによって自分自身がどれだけ癒されているかで判断すればよいわけです。
ケアとはケアする側とされる側に分かれるのではなく、双方向性なのです。
さらに視野を広げてみます。
がん患者さん・家族さんとの間に新たな関係性を作ることが緩和ケアであるのなら、だれでも緩和ケア提供者になれるということになります。資格はいらないのです。ただし、『がん』という病気のことは知っておく必要があります。特別視せよということではありません。理解したうえでつながるべきであるということです。
これがもうひとつの方法の『場』の提供につながっていきます。
それこそが今回のイベントのテーマであり、僕自身には欠けているところです。『場』を提供するためには新たな視点と行動力が必要です。僕の主業務である『診療行為』の中だけでは到底できません。まさしくプラスアルファですね。
最近では社会的処方という考え方も広がりつつあります。『場』の提供業務を医療に組み込むものです。日本でも普及していくことを願っています。また、『場』は物理的な場所・空間には限りません。オンラインでも、バーチャルでもよいわけです。当事者がその状況を『場』ととらえられればそれで良いのです。
『場』の提供で最も重要なのは、『設定』です。これは結構難しいことです(一歩間違えると逆効果になることもあります)。『がん』という病気はナイーブな側面を持っています。『がん患者さん』という大きなくくりではとらえることはできませんし、個人個人の思いも非常に振れ幅が大きかったりします。病気の経過も大きく影響します。ですから、その時の自分に合った『設定』の『場』を選ぶことが必要であり、その選択肢を複数提供することが求められています。
『ゆめこらぼ』さんはまさしく『場』を提供する機能を持った組織です(と僕は理解しています)。これからどのように発展していくか、とても楽しみです(微力ながらお手伝いしたいと思っています)。
ひとつ自分の中のプラスアルファが増えた感じです。
