こんにちは。
大寒波到来で激寒ですね。踏ん張りどころです。
今日は、特養入所について考えてみます。
『特養』という言葉は聞いたことがある方が多いと思います。『特別養護老人ホーム』の略称です。
特別養護老人ホームは、介護を要する高齢者(介護保険の要介護3以上の方)を対象とした終の棲家としての公的施設です。利用料金が安価におさえられていることもあり人気が高く、入所を申し込んだ後に年単位の待機時間が必要となっています。
僕は特養で働いてはいない(訪問診療は特別な場合を除いて特養は適応外です)ので、内情については触れません。あくまでも入所に関連した話です。
人は歳を取るとあらゆる機能が低下して脆弱な状態(フレイルと呼んでいます)になっていきます。残念ながらいずれは自立した生活が送れなくなっていきます。そこで、いわゆる『人生の最終段階』をどのように過ごすか、ということを事前に考える必要が生じます。
できれば最期まで家で過ごしたい・過ごさせてあげたいけれど、難しいのか?
といった疑問・不安が浮かんできます。その際の選択肢の一つに特養入所という方法があるわけです。
特養は特別な場合を除いて、要介護3以上の認定がおりないと申し込むことができません。そのうえで年単位の待機時間が発生するわけですから、綿密な計画を立てて行動しなければなりません。「特養に入所する・してもらう」という方針を決めたとしても、入所までの間をどうするか? ということも考えなければならないのです。
もちろん特養以外の施設(サービス付き高齢者住宅とか、有料老人ホームとか、グループホームとか)に入所するという代替案もありますが、特養入所までは自宅で療養・介護生活を送るという方が多いと思います。そこで在宅療養支援サービスを利用することになります。われわれの行う訪問診療・在宅医療にはこういう役割もあります。特養入所までのつなぎ、というわけです。
特養入所までのつなぎだとしても、われわれは在宅療養を全力で支援します。QOLの維持向上を目指します。同時にご家族の介護負担軽減にも腐心します。特に介護保険サービスでのデイサービスやショートステイなどをうまく使ってフレイルな状態になっても在宅療養を継続できるよう努めます。
そうすると、思いのほか在宅療養・介護生活がスムーズに行えたりします。身体機能や認知機能が低下しても、介護介入や医療介入を強化することで、自宅で割と穏やかに過ごせたり、ご家族の負担もそれほど大きくならずに済んだりします。
そういう在宅療養・介護生活を送っていると、ご家族の心の中に漠然と「ああ、このまま家で過ごしてもらってもいいかも」という思いが生まれることがあります。もちろんご本人は「ああ、やっぱり家がいいなぁ」と感じていることが多いのは想像に難くありません。
そんな時にある日特養から「来週の〇曜日に入所できます」という知らせが来ます。もちろん施設によってさまざまだと思いますが、割と突然連絡が来ることが多い印象です。いわゆる「寝耳に水」「青天のへきれき」というやつです。
正直戸惑いますよね。仕方がないこととはいえ、即答しづらい状況です。断ったら次にいつチャンスが巡ってくるかはわからなかったりもします。
これ、特養を非難する意図は1ミリもありません。特養の皆さんも待機時間を少しでも短くするために努力されています。
僕は在宅医なので、できれば人生の最期まで家で過ごしてもらいたいと思いながら働いています。ですから、特養入所の連絡に際してコメントやアドバイスすることはありません。できません。
すべての選択には意味があります。絶対的に正しい方向などというものはありません。また、後悔のない選択というものもありません。芽生えた感情を否定する必要もありません。
ただ、僕らはプロフェッショナルなので、粛々と見送らせていただきます。
