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老害的な話

こんにちは。

いよいよ10月も終わってしまいます。天候がいまいちで残念でしたね。

今日は在宅医療は直接関係ない話(ある意味余計な話)をしてみます。

 

先日、ここ数年恒例の某大学薬学部の年1回の講義をやってきました。毎度のことながら、好き勝手に話してきました。

それでも内容はまじめに考えてまして、メッセージとしては

 ① 地域で働こう

 ② 緩和ケア提供者になろう

 ③ 在宅療養支援という働き方もある

てな感じでした。学習というよりは就職ガイダンス的な感じで話しました。

そこで前置きとして、「若いうちは若いうちにしかできないことをやるべきだ」という老害感まる出しの主張をしてしまいました。そのことについてあえてここで深掘りさせていただきます。

 

医療業界の仕事の多くははっきり言って肉体労働です。もちろん頭脳労働も伴いますが。

肉体労働の要素としては、瞬発力、持久力、そして集中力が求められていると思っています。これらはどれをとっても年齢が若い方が優れています。歳とともに衰えていくと言ってもよいでしょう。

ですから、若いうちは瞬発力、持久力、集中力を高度に求められる仕事をすることが望ましいと思うのです。具体的には、外科系医療、救命救急医療、集中治療、デバイスを使った医療、精緻な判断を要する薬物療法などでしょうか。医師、看護師、薬剤師などに限らずこれらの分野に従事するすべての職種の人に言えることだと思います。

逆に、歳を取ってからは瞬発力、持久力、集中力よりもむしろ老練さが求められる仕事をしたらいいと思います。在宅医療、家庭医療などをイメージしています(完全に個人の意見ですが)。もちろん体力勝負の分野での指導者になるという生き方もあります。ただそれには指導力という新たなスキルが必要とされますが。

 

体力勝負の分野はどれも人手不足が深刻化しています。若い人が敬遠してしまうようです。残念で悲しいことです。

逆に若いうちから老練さを求められる分野に進む人は増えているようです。そのこと自体を非難するつもりは毛頭ありません。ただ、その選択が体力勝負の分野の人手不足を一層助長しているということには自覚的であるべきです。

 

一度きりの人生です。ワークライフバランスが大事だということもよくわかります。生涯を仕事に捧げる必要などありませんが、若いうちは期間限定的にワークの方に重きを置いてみてはどうでしょうか。瞬発力、持久力、集中力が求められる分野に活躍の場は必ずあります。

10-20年ほどそういう世界で生きたうえで、その後に老練さを求められる分野に進んだらよいのではないでしょうか。全く遅くはありません。若いうちに経験し獲得した引き出しの多さが、歳をとってから必ず役に立つと思っています。

 

老害的な個人の見解でした。