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死亡者数について

こんにちは。

急に冬になった感じです。秋はもう終わったのでしょうか。

 

今日は年間死亡者数の推移について考えてみます。このところ死亡にまつわる話題ばかりで恐縮です。

2040年問題というのはご存じだと思います。2040年に年間死亡者数がピークに達すると予測されていることに関連したものだと理解しています。

そこで数年前、『死に場所難民』とか『看取り難民』という言葉が使われたことがありました(今でも使われているかもしれませんが)。

その時の言質は次のようなものだったと記憶しています。

 「年間死亡者数が増加している。すでに140万人に達した。今後2040年まで増え続け160万人を超えると予測される。現在より年間20万人ほど死亡者が増えることになる。それに対し病院のベッド数は増えない、むしろ減らされていく。人生の最期の時を過ごす場所が見つからない人が発生するだろう。」

なかなかショッキングな話題でした。在宅医として危機感を覚えました。ただ、未来(20年後)の話であり、時間的猶予はあると思っていました。

 

 

そうこうしているうちに2025年になりました。2040年問題に先行して2025年問題というのも取りざたされており、その年になったわけです。2025年問題がどう総括されるのかはここでは触れませんが、否応にも時間は経過していくわけで、ここからは本格的に2040年問題に対処することになるのだと思います。

と思ったところで厚労省の人口動態統計を見てみたところ、なんと2024年の年間死亡者数はすでに160万人に達していました。

「2040年には年間死亡者数が160万人に達する、大変だ!」と叫ばれていたのが、2024年の段階であっけなく160万人の壁(というものがあるのかどうか知りませんが)を超えていました。さすがに僕はびっくりしましたが、全然社会問題にはなってませんね。

 

そんなわけでこの問題に関する疑問点を列挙しておきます。

 

・死亡者数の推計がはずれたのはどうしてなのか?

・推計の修正は行われるのか?

・死亡者数のピークがさらに上昇するのか?

・あるいはピークに達するのが2040年より早まるのか?

・年間死亡者数160万人を超えた現時点でいわゆる『死に場所難民』は発生しているのか?

 

検索した範囲で、上記の疑問に対する解答は見つかりませんでした。

そこで根拠は乏しいですが、自分なりに推測してみます。

・推計より死亡者数が多くなったのは、やはりコロナ禍の影響があるのではないでしょうか。また、たぶん平均寿命の延びもさすがに頭打ちになった(低下しているかも)のではないかと思います。

・人口は決まっているわけですから、年間死亡者数のピークがさらに上昇することはないでしょう。むしろピークに達するのが早まるのではないでしょうか。もう2-3年でピークに達するのかもしれません。

・自分が在宅医として活動している範囲では、『死に場所難民』というような状況は見受けられません。東京都という特殊な地域だからかもしれませんが、訪問診療クリニックも訪問看護ステーションも需要を満たしている(場所によっては供給過剰になっている)と思っています。看取りを想定した施設も増えています。

 

2040年問題というのは当然もっと社会的な問題(労働人口の減少など)を多く含むわけで、これから十数年の間にいろんなことが勃発するのでしょうが、少なくとも死亡者数に関する問題は思っていたほど重大ではないのかもしれません。在宅医としてはちょっとホッとしたりもしています。

いずれにせよ在宅療養支援という業務はまだまだ需要がありそうですから、粛々とできることをできる限りやっていこうと思います。

 

(追伸)

 先日から当院にドライバーさんが入職してくれました!

 機動力が上がり、活動範囲も広げていきたいと思っています。